天体観測ぶろぐ

地道な努力が欠かせない

2011年02月10日

新しい素材が市場で販売される前から、その素材が紳士服向けか、あるいはスポーツウェア向けなのか、どういう工夫をすれば紳士服に適した素材となるか、などを素材メーカーの担当者と実物を前に置いて研究、討議する。発売前の商品も研究対象とするだけに、「あるメーカーから新しい素材が持ち込まれたら、関係者以外は全員席を外す」(濃野常務)など、互いの秘密の保持には神経を使っている。そのため、ここでの研究成果の公表には素材メーカーの同意が必要だ。そうした制約はあっても、研究の結果得られたデータやノウハウは、素材の販売開始前からオンワード総合研究所内に蓄積されるのが同社にとっての強みである。縫製現場への情報提供や技術援助などを、より的確に素早く行うことが可能になる。「素材重視というだけでは、今度はデザイン不在になりかねない」(鐘紡の遠入昇常任顧問)と危惧する見方もある。しかし、様々な新素材が登場した結果、着用後のクリーニングの現場で「クリーニングに注意を要する衣類が増えている」(白洋舎の横山暢宏洗濯科学研究所長〔現・工場本部部長〕)という声が出るほど、素材が衣料に与える影響は大きくなっている。消費者に対し「価格に見合った品質」と洗濯も大丈夫という「安心感」を提供するためには、派手さはなくても、素材にまじめに取り組むという地道な努力が欠かせない。